エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
書類の準備はものの数分で整った。
矢城から、脱水と熱中症、怪しいキャッチやナンパ、痴漢に気をつけるよう注意を与えられ、詩織は事務所を出た。

(責任重大。急がなければ……!)


それから四十五分ほどが経って、家庭裁判所を出た詩織は、のんびりとした足取りで最寄り駅へと歩いていた。
時間ギリギリで提出までを無事にこなすことができ、ホッと気を緩めている。

矢城にはその旨をメールで伝えてあり、ありがとうと感謝の言葉をもらった。
役に立てたことが、またひとつ自信になる。
清々しい気分だ。

空はまだ夕焼けの気配もなく、汗ばむほどに暑い。
道すがら、お洒落なブティックのショーウィンドウや可愛い雑貨店、北欧調カフェのメニュー看板を眺める。

(そういえば私、矢城先生とまだデートをしたことがない。近所のカフェでいいから、一緒に行ってくれないかな。……誘いにくい。忙しい人だもの、休日はゆっくり寝ていたいよね、きっと……)

眉尻が下がったが、一緒に暮らせることは贅沢だと思い直して笑みを浮かべた。
カフェ前で止めていた足を動かそうとしたら、ふいに声をかけられる。

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