エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
詩織が断ろうとしたら、山田が膝を押さえて「いたた……」と呻く。

「大丈夫ですか?」
「膝を痛めておって、これ以上歩くのはしんどい。すまんが車で行かせてくれんか」

ふと矢城の心配顔が頭に浮かんだ。
出がけに注意された言葉も思い出す。

(相手はお年寄りで、怪しいキャッチやナンパじゃないもの。それに痛がっているのに、歩いてくださいとは言えない……)

なんとなく後ろめたさを感じつつも、矢城の注意を頭の隅にしまい込んだ詩織は、「わかりました」と承諾してコインパーキングへ。

山田の車はありふれた白のセダン。
彼を運転席に乗せてあげてから、助手席側に回った。
乗り込むと、車内の暑さは覚悟していたほどではなかった。
日陰になっているわけでもないのに、多少、蒸し暑いという程度である。
ふと疑問に思ったが、山田が話しかけてきたので気が逸れる。

「シートベルトを忘れんように」
「あ、すみません」

詩織がシートベルトを締めると、山田はエンジンをかけて車道に走り出た。
クーラーからはすぐに冷風が出てきて、汗を乾かしてくれる。
その風を浴びて、詩織は再燃した疑問を強めた。

< 198 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop