エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
(家の中の連れ込まれる前に、なんとかしないと……)

幸い両足は拘束されていないので走ることはできそうだ。
エンジンを切った山田が、ポケットから折り畳み式のナイフを取り出して、刃先を詩織に向けた。

「車から降ろしてやるが、逃げようとしたら命はないからな」

そう脅して、運転席から先に外へ出る。
助手席のドアは依然ロックされたままで、山田が外から解除しない限り開かないようだ。

(ここが最期のチャンス……)

詩織は山田の動きをじっと見る。
運転席のドアが閉められ、砂利と雑草を踏みつけながら山田が車の真ん前に差し掛かった。
そこで詩織は動いた。
右に体をスライドさせ、助手席ではなく、運転席側のドアを開けて外に飛び出したのだ。

「あっ! このアマ、待ちやがれ!」

山田の声を後ろに聞きつつ、詩織は走る。
民家の敷地を出て、来た道を引き返した。

窓明かりの灯る遠くの家まで逃げて助けを求めたいが、最短距離で畑の中を突っ切ろうとすれば不利になる。
ローヒールのパンプスの詩織より、スニーカーの山田の方が走りやすいだろう。

有利な点は若さだろうか。
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