エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「お前のような奴は弁護する気になれない。一生、刑務所暮らしをしてろ」

刑務所から出所したばかりということは、長年、母親の介護をしているというのは嘘のようだ。
六十四歳の権正の母親ならばかなり高齢で、存命しているのかも怪しい。

騙されやすいのは問題だという矢城の指摘を噛みしめた詩織は、深く反省する。
(今後、知らない人に対しては、嘘をついていないか疑うことにします……)


それから数時間が経ち、時刻は二十三時半を過ぎたところだ。

詩織はたった今、権正が逮捕に至った場所を管轄する警察署を出たばかりである。
被害者である詩織も供述調書作成のために長々と聴取を受けていた。

こういうのは簡単に終わらない。
詩織にとっては事件と無関係と思われる質問までされて、ヘトヘトである。
しかも後日、また呼び出されるというのだから、被害者も大変だ。

矢城も聴取を受けたが、詩織よりはかなり早く終わっていた。
帰っていいと言われたそうだが、廊下の硬い長椅子で、詩織をずっと待っていてくれた。

警察署の駐車場を、詩織は矢城と並んで歩いている。
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