エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
五つ違いの兄がいて、そのお嫁さんと幼稚園児の甥っ子の六人家族である。

父は今、町役場で働いているが、祖父の代まで大きな農家であった。
田畑の大部分は売ったが、少しだけ残して、家族で食べる分の米や野菜を育てている。
ちなみに父は長男で、浅木一族の本家であるから、自宅は大きい。
築年数の古い平屋で、小さいが蔵もある。

「昔は豪農で、この辺りのまとめ役のようなことをしていたんだそうです。でも今は違います。父は町内会長をしているだけで普通の公務員です。母と祖母は優しいし、兄一家は賑やかで楽しい人たちですよ」

「そうか……」

真顔で頷いた矢城が、その後に「未知の家族像だ」と独り言ちた。
矢城の実家への挨拶はまだこれからなのだが、病院経営者の厳格な父と母の三人家族で、兄弟も祖父母もいないという話は聞いている。

詩織がのびのび育った家庭環境とはかなり違う。
そのせいで詩織の家族をうまく想像できないようだ。

余計に不安にさせてしまったかと、詩織は慌てて付け足す。

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