エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「駄目なお父さんで、ごめんよ……」

細貝を気の毒に思っても、詩織は声をかけられずに眉尻を下げるのみ。
けれども矢城が美緒をたしなめてくれた。

「美緒ちゃん、人間誰しも長所と短所があるんだよ。お父さんのいいところは、真面目でひたむきなところだ。これを続けるのは案外難しい。苦手分野でもめげずに頑張っているお父さんは偉いよ。美緒ちゃんのためにいつも一生懸命だろ? 駄目だと否定しちゃいけない」

美緒はそれについて考えるように黒目を上げた。
それから矢城の膝を下り、肩を落としている父親の元へ行く。
ごめんなさいと謝るのかと思いきや、歯を見せて笑った。

「お父さんはやっぱり駄目な人だよ。でも美緒はお父さんが大好き。美緒ね、いっぱい勉強して矢城先生みたいな弁護士になるんだ。お金をいっぱい稼いで、お父さんとずっと一緒に暮らすの。そうしたら、お父さんはもう苦手なお仕事しなくていいよ」
「美緒……ありがとう」

(美緒ちゃんの夢はお父さんを楽にしてあげることなんだ。馬鹿にしたわけじゃない。細貝さんの頑張りは、ちゃんと美緒ちゃんに伝わってる……)

親子の絆に胸を熱くした詩織は、自身の家族を想う。
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