エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
祖母と両親、兄夫婦とその子供が一緒に暮らしている。
詩織がスカウトされて芸能界入りする時、父に大反対された。
『きっと怖い思いをするからやめておけ』と……。
なにが怖いのか意味がわからなかった詩織は、ただ女優というキラキラした仕事に憧れて、懸命に父に東京行きの許しを請うたのだ。
最終的には父が折れてくれて、旅立つ日には新幹線の駅まで見送りにきてくれた。
『頑張れ』と言ってくれたその目は、涙に潤んでいた……。
(お父さんに申し訳なくて、それも実家に帰れない理由かも……)
胸に走った痛みは、美緒に逸らしてもらえた。
美緒は父親から離れ、矢城に飛びつく。
「美緒の夢は弁護士と、もう一個あるんだ。あのね、先生のお嫁さんになること!」
矢城は細貝より三歳上だ。
端整な顔立ちをしていても、小学生からしたら普通はおじさんに見えるだろう。
矢城の斜め後ろに立つ詩織が、「えっ」と驚きの声を漏らしたら、美緒に睨まれた。
「詩織ちゃん、今、美緒が変なこと言ったと思ったんでしょ」
「ご、ごめんね。変だとは思ってないよ。憧れだよね。その気持ちはわかる……かな?」