エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「細貝さんが帰宅するまで、側についていてあげたいんです。ノートパソコンを美緒ちゃんの部屋に持っていって仕事もしますので、お願いします」
「うん。仕事はしなくていいし、こっちからもぜひ看病をお願いしたいところだけど、詩織ちゃんは大丈夫?」
「えっ、なにがですか?」
「いや……うん。問題ないならいいんだ」

矢城は、詩織が外出で嫌な思いをするのではないかと気がかりだったのだろう。
眉尻を下げているその顔で、問われた意味をハッと理解する。

(心配して待っていてくれたんだ。なおさら情けない顔は見せられない……)

矢城に市役所から持ち帰った戸籍謄本を渡すと、詩織は美緒と二階に上がった。
細い廊下に木目のドアが三つ、等間隔に並んでいる。
初めて入る細貝親子の部屋は手前で、初めて中に入る。
片付いているというよりは、物が少なく寂しい印象だ。

間取りは2DK。
トイレと風呂は、共用のものが二階の端にある。

学習机が置いてある六畳間に詩織が布団を敷いている間、美緒は自分で学校に電話していた。
連絡するよう担任教師から言われたことを忘れていない。
それが済むと、布団にぐったりと横になる。
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