エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
倦怠感が出てきた様子の美緒に病院に行くことを提案したが、拒否された。

「詩織ちゃん、病院はタダじゃないんだよ」
「お金の心配をしているの? それくらいなら私が――」
「風邪って言われるだけなのに、お金払うのもったいない。明日になったら治ってるよ。私、眠るね。詩織ちゃんは気にせず仕事して」

しっかりした子だと感心したが、まだ九歳。放ってはおけない。
水枕を作って美緒の頭を冷やしてあげると、「気持ちいい」と言って目を閉じた。
スースーと寝息を立て始めたので、詩織はそっとそばを離れると、台所に行って冷蔵庫を開ける。

牛乳とイチゴジャム、卵が三個とチーズ、見切り品のシールが貼られたキャベツ……それしかない。
ナワポンが時々、栄養のある夕食を振舞ってくれるけれど、普段は食費を切り詰めているのだと推測し、詩織は胸が締めつけられるような思いがした。

(美緒ちゃんのお昼ご飯を作るのに、冷蔵庫の中のものは使いたくないな。買い物に行かないと……)

外出に対する恐怖は消えていなくても、それをグッと押し込めて詩織は廊下に出た。
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