エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
階段を下り、ひとりで仕事中の矢城に近所のスーパーマーケットに行ってくると告げる。

すると驚かれた。

「随分、自信がついたんだな。赤沼の言うように、思い切ってお使い頼んで正解だったか」
「はい。もう大丈夫です。これからは、怖がらずに外出できそうです」

本当は自信などないが、それを隠して微笑んで見せる。
元女優なので、平気なふりをするくらいの演技力はあるつもりだ。
矢城は目を細めて詩織の変化を喜び、美緒のためにと一万円をくれた。

それから一時間ほどが経ち、詩織は細貝家の小さな台所で料理をしている。
幸いにもスーパーマーケットでは後ろ指をさされることなく、無事に帰宅できた。

ひとり用の土鍋で卵粥がコトコトと煮えている。
野菜をクタクタに煮込んだスープと、もし食べられそうならと思い、クリームシチューや茶わん蒸しも作った。
一度に食べるのは無理だろうから、夕食にしてもいいと考えてのことだ。

冷蔵庫には茹でうどんとヨーグルト、スポーツドリンク、果物なども入れておいた。
眠りの中にいる美緒を気にしつつ、詩織は火の入っていないこたつテーブルで仕事もする。

< 52 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop