エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
しかし、角を曲がって法律事務所が視界に入ると、速度を緩めて詩織から離れた。
「ひと言、答えてくださいよ。芸能界復帰を考えてます?」
背中に投げつけられたその質問を最後に、詩織は事務所内に駆け込んだ。
赤沼は外出中で、矢城がひとりで仕事をしていた。
自分の机でパソコンのマウスを動かしながら、受話器を耳に当てて電話中である。
アパートの住人とは砕けた口調で話す彼だが、依頼人と思われる電話の相手と話す声は真面目で低く、少々硬い。
それが弁護士らしい頼もしさを醸していた。
その姿を視界に入れて、詩織はホッと息をつく。
矢城の存在は心の安定剤のように、詩織の恐怖を鎮めてくれた。
激しい動悸も治まり、そうすると抱えている総菜屋の紙袋に意識が向いた。
(転んだからコロッケが潰れちゃった。美緒ちゃんのおやつにあげられない……)
ドア口に突っ立ったまま残念に思っていると、電話を終えた矢城に呼びかけられる。
「詩織ちゃん、お帰り。お使いありが――」
急に言葉を切った矢城が、瞳を険しくして詩織に駆け寄った。
「なにがあった?」と問うその視線は、詩織の顔から膝に移る。
「ひと言、答えてくださいよ。芸能界復帰を考えてます?」
背中に投げつけられたその質問を最後に、詩織は事務所内に駆け込んだ。
赤沼は外出中で、矢城がひとりで仕事をしていた。
自分の机でパソコンのマウスを動かしながら、受話器を耳に当てて電話中である。
アパートの住人とは砕けた口調で話す彼だが、依頼人と思われる電話の相手と話す声は真面目で低く、少々硬い。
それが弁護士らしい頼もしさを醸していた。
その姿を視界に入れて、詩織はホッと息をつく。
矢城の存在は心の安定剤のように、詩織の恐怖を鎮めてくれた。
激しい動悸も治まり、そうすると抱えている総菜屋の紙袋に意識が向いた。
(転んだからコロッケが潰れちゃった。美緒ちゃんのおやつにあげられない……)
ドア口に突っ立ったまま残念に思っていると、電話を終えた矢城に呼びかけられる。
「詩織ちゃん、お帰り。お使いありが――」
急に言葉を切った矢城が、瞳を険しくして詩織に駆け寄った。
「なにがあった?」と問うその視線は、詩織の顔から膝に移る。