エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
恥ずかしいと思ったのは、その行為だけでなく、心を丸裸にされそうな予感がするためであった。

「私は大丈夫です。これからも外に出て、先生のお役に立ちたいんです……」

マスコミに追われて泣いて帰ったとは言わず、小さな声でそれだけ主張した。
守られるだけの役立たずでいたくないというのは本心である。

矢城は手早く消毒し、大きな絆創膏を貼ってくれた。
救急箱の蓋を閉じても詩織の前に片膝をついたまま動かない。

物問いたげな彼の視線が突き刺さる。
詩織が太ももの上で右手を握ると、そこに大きな手が被せられた。

「詩織ちゃん、俺の目を見て話すんだ。嘘じゃないかと疑いたくなる」
「嘘じゃありません。私は本当に――」
「こっちを見なさい。見ないなら、君の唇を奪うよ?」
(えっ……?)

驚いて顔を上げると、穏やかに笑む切れ長の瞳と視線が交わった。
暴挙を働くつもりがないのはすぐにわかった。
矢城は深みのある声で、説得するように話しだす。

「外に出て仕事をしようとする前向きな姿勢には感心している。だが、危険があってはいけない。心を傷だらけにしてまですることではない」

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