エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
涙をこぼさないように目を閉じたら、ソファが沈んだ。
隣に矢城が腰かけたのだ。
肩に腕を回され、その手で頭を引き寄せられる。
ワイシャツの胸に横顔を押し当てるような格好で抱きしめられた。
驚きに息をのめば、詩織の耳に悔しげな声が響く。
「もっと俺を頼ってくれよ。守りたいんだ。詩織ちゃんを。君の涙を止めてあげられる自信はあるんだが、どうすれば信じて任せてもらえるのかがわからない」
(矢城先生を信じていないわけじゃない。臆病な私が悪いの……)
優しく温かな腕に守られていると、涙腺が緩みそうになる。
「迷惑かけてごめんなさい……」と謝り、泣くまいと歯を食いしばる詩織であった。
アンティーク調の振り子時計は十一時をさしている。
今日の矢城法律事務所内には、珍しく三人の姿が揃っていた。
矢城と赤沼は自分の机で、詩織は相談室にノートパソコンを持ち込んで仕事をしている。
外は大雨。役所関係に行かねばならない用事は明日でいいと矢城に言われたためである。
しかしながら頻繁に電話はかかってくるし、抱えている案件の処理や来客もあるので暇なわけではない。