エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
雨は止み、空には薄雲を被った三日月が浮かんでいる。

窓を少し開け、明日は晴れそうだと思いつつ夜空を眺めた詩織は、すぐに閉めた。
相談室の隅の衝立を動かして折り畳みベッドを広げると、スマホを手に腰を下ろす。

夕方に送られてきたメールが一件あり、実家の母からであった。
このメールもそうだが、再三に渡って帰っておいでと言われているので、詩織の眉尻は下がる。

詩織の不倫騒動は、テレビではもう下火になっていても、ネットニュースでは度々取り上げられていた。
他の芸能人の不倫が暴かれると、比較対象のように浅木清良の名前を持ち出されてしまう。
家族は心配でたまらないのだろう。


仕事も住む場所もあり、親身になってくれる人もいるからもう少し東京で頑張りたいという内容を返信し、詩織はスマホを置いた。
最初はマスコミが実家に押し寄せたら困ると思い、帰りたくても帰れなかったが、今は違う。

(ここの皆さんが温かくて、離れたくない。家族に会いたい気持ちもあるけど……)

母からの返信を待ったが、寝ているのか連絡はない。
ぼんやりと家族の顔を思い浮かべていたら、気づけば深夜一時を過ぎていた。

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