エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
こらえきれないというような低い笑い声が、静かな夜の事務所に響いていた。
翌日は心地よい陽気の晴天である。
矢城法律事務所の始業は九時で、十五分前に階段を下りてきた赤沼が仕事を始めていた。
詩織は事務所の玄関を軽く掃除して、それから赤沼に声をかける。
「おはようございます。今日の指示をお願いします」
矢城が席に着いている時は矢城に指示を仰ぐのだが、生活スペースの方からドライヤーの音が聞こえている。
今朝は洗いざらしではなく、髪を整えるようだ。
赤沼はチラリと横目で詩織を見ると、「まったく羨ましい」と言って嘆息した。
「え?」
「浅木さんは出かける支度をして」
「すぐに役所回りでしょうか?」
「いや。矢城先生とふたりで外出。僕は留守番だ」
詩織が矢城とふたりで出かけたことはない。
今の時点で詩織は、役所関係に書類を取りにいくくらいの雑務しかできないので、赤沼のような助手役は不適格だ。
どういうことかと目を瞬かせたら、衝立の奥から矢城が事務所スペースに出てきた。
スリーピースのネイビースーツにネクタイを締め、髪はビジネスヘアに整えられている。
翌日は心地よい陽気の晴天である。
矢城法律事務所の始業は九時で、十五分前に階段を下りてきた赤沼が仕事を始めていた。
詩織は事務所の玄関を軽く掃除して、それから赤沼に声をかける。
「おはようございます。今日の指示をお願いします」
矢城が席に着いている時は矢城に指示を仰ぐのだが、生活スペースの方からドライヤーの音が聞こえている。
今朝は洗いざらしではなく、髪を整えるようだ。
赤沼はチラリと横目で詩織を見ると、「まったく羨ましい」と言って嘆息した。
「え?」
「浅木さんは出かける支度をして」
「すぐに役所回りでしょうか?」
「いや。矢城先生とふたりで外出。僕は留守番だ」
詩織が矢城とふたりで出かけたことはない。
今の時点で詩織は、役所関係に書類を取りにいくくらいの雑務しかできないので、赤沼のような助手役は不適格だ。
どういうことかと目を瞬かせたら、衝立の奥から矢城が事務所スペースに出てきた。
スリーピースのネイビースーツにネクタイを締め、髪はビジネスヘアに整えられている。