エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
詩織はジャケットの胸元を握りしめて、苦しげに答える。

「言ったんです。マネージャーさんに。わかったと言ってくれたのに……」

『後のことはこっちに任せて。清良は自宅でじっとしていなさい。この件について、余計なことを言っては駄目だよ。家族や友人、SNSでもだ』

信頼していたマネージャーの指示を守り、大人しくしていた結果、気づけば切り捨てられただけであった。

「誰も私を助けてくれなかったんです……」

葉山の目から、詩織に対する怒りがスッと消えた気がした。
けれども表情の険しさは解けず、その鋭い視線は隣の小関に向けられた。

ギクリとした様子の小関が腰を浮かせ、「ちょっとトイレに」と逃げようとする。
それを「座りなさい」と命じて阻止した葉山が、怒りに震える声で夫に問いただす。

「あなた。浅木さんに迫られて断りきれなかったと言ってなかった? 妻子がいると断ったのに、それでもいいと積極的にこられて、ついフラフラと。魔が差しただけだと私に弁解したわよね?」

「ご、ごめん……」
「否定しないということは嘘を認めるということね?」
「いや、その……申し訳ない」

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