エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
詩織は目を丸くして息をのんだ。
返事ができないでいると、矢城に「詩織ちゃん」と促される。

「葉山さんは、君の名誉を回復してあげると言ってくださったんだよ。返事をして」
「は、はい。葉山さん、ありがとうございます。資料は使っていただいて構いません。どうぞよろしくお願いします」

テーブルに額がつきそうなほど詩織は頭を下げ、葉山の恩情に感謝する。
希望の光がはっきりと見えた思いでいたが、椅子がガタンと鳴り、小関が慌てたように立ち上がった。

「慰謝料は支払うから会見だけはやめてくれ! 俺だけじゃない、裕子、君にも被害が及ぶぞ。イメージ悪化で仕事がなくなる。夫婦なんだから」

真相を公にしたら、女癖の悪い夫に苦労する妻として世間から同情されるだろう。
葉山が非難されることはないと思われるが、イメージは狂う。
これまでのような強気な女性役には相応しくないとみなされるかもしれない。

それを理由に事実の公表を拒み、金銭でのみ解決しようとする小関に、葉山がこれ以上ないほど冷たい視線を向けていた。

「私の心配はいらないわ。あなたと離婚するからイメージは崩れないわよ」
「なっ……?」
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