エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「私、この件について最初に言ったわよね。あなたの言い分を信じるけど、もし嘘だったら捨てるわよって。私はね、人の道から外れたことをする奴が大嫌いなのよ!」

(葉山さん、かっこいい……)

映画の主役さながらに、葉山は正義感の強い女性であるようだ。
詩織は自分にはない彼女の強さに憧れた。
対して小関はというと……床に膝を落とし、土下座で妻に許しを請う情けなさだ。

「頼む。謝るから勘弁してくれ。徹(とおる)はどうするんだ。まだ二歳だぞ。父親のいない子にするのは可哀想だろ」

夫婦には子供がひとりいる。
今度は子供を理由に思い留まらせようとする小関に、葉山が心底あきれ顔で言う。

「徹は一昨日、三歳になったわよ。息子の誕生日も覚えていないのね。不在がちで父親らしいことはなにひとつしてこなかったのに、よくそんなこと言えるわ。ろくでなしな父親はいらないのよ。私ひとりで育てた方が徹のためになるでしょ」

(私、どうして小関さんのことが好きだったんだろう……)

撮影現場では頼もしく素敵に見えた小関は、化けの皮を剥いでしまえば自己中心的で思い遣りも父性もない男であった。
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