エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
肩を震わせて泣いているその様子は哀れだが、詩織は同情する気になれなかった。

葉山が立ち上がり、詩織に向けて頭を下げる。

「うちの馬鹿夫が大変申し訳ありませんでした。浅木さんに直接お会いして、話を伺えばよかったと後悔しています」

慌てて詩織も席を立ち、深々と腰を折る。

「私も申し訳ございません。恋に浮かれて小関さんの言葉を全て信じてしまいました。愚かだったと反省しています」

詩織が顔を上げると、葉山が自嘲気味な笑みを浮かべていた。

「お互い、男を見る目を養った方がよさそうね」
「は、はい」
「それにしても、あなたの事務所もひどいわね。なぜ浅木さんを庇わなかったのかしら?」

それに答えたのは矢城だ。

「裏取引でしょう。浅木さんひとりを悪者にして芸能界から追放する代わりに、他の所属タレントにいい仕事を回してくれるよう、日洋テレビに交渉したのでは」

「ひどい! ひとりの女優の人生をなんだと思っているのよ。許さない。絶対に会見してやるわ」

詩織のことで怒ってくれた葉山は、うなだれる小関を連れて会議室を出ていった。
矢城と詩織は並んで立ち、夫婦を見送る。
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