エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「最高の報酬だな。この会議室、あと一時間ほど借りてるから、それまでこうしていよう。詩織ちゃんに甘えられたら、若返りそうだ」

(先生は冗談ばかり。でも私は……)

芽生えた矢城への恋心。
矢城はそれに少しも気づかぬ様子で、詩織を優しく抱きしめてくれた。


五月の連休も過ぎ、景色は初夏の様相となっている。
まだ暑くはないので、今日の夕食はすき焼きだ。

時刻は十九時三十分。
一階の食卓テーブルでは、ナワポンが作ってくれたすき焼きの鍋を住人たち全員で囲んでいる。

牛肉は近所の肉屋の特上和牛。
赤沼にはもっと儲かる仕事を選ぶよう文句を言われている矢城だが、詩織からすれば富裕層だ。
この牛肉も然り、もったいないという理由で古い建物をポンと買い取ってリフォームし、ワケアリな人を拾って生活の面倒をみることができるのだから、かなりお金持ちである。

ふたつ繋げられた食卓テーブルには、矢城と美緒と細貝が並んで座り、詩織は矢城の向かいでナワポンの隣だ。
詩織と矢城の間に、赤沼がいる。

「美緒ちゃん、ほら、肉が煮えてるぞ。たくさん食べな」

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