エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む

美緒と赤沼に両側から迫られた矢城は、「ほらな」と苦笑する。

「こうなるから、詩織ちゃんになにも頼めないんだよ」
冗談めかしてそう言って、優しく目を細めた。

「これからも詩織ちゃんの笑顔が見たい。それが俺への恩返しになるから」
「先生……」
(嬉しい、けど……)

詩織は残念にも思っていた。
矢城は自分よりずっと大人で、子供の君にしてもらいたいことはなにもないと言われた気がしたからだ。

(矢城先生になにもお返しできないのかな。もう少し、心の距離も近づけたいのに、どうすればいいんだろう……)


楽しいすき焼きの時間は一間ほどで終わり、時刻は二十時半になろうとしている。
詩織はナワポンと一緒に片付けをしていた。

矢城と赤沼は事務所スペースで、なにやら仕事の話をしている様子。
細貝親子は二階に引き揚げていった。

詩織が洗った後の食器を、ナワポンが隣で拭いている。

「今日も美味しかったです。次は作るところから私もやりますね。ナワポンさんひとりだと大変でしょうし。あ、仕事が残っていたら、お任せしてしまうかもしれませんけど、できるだけ」

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