都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「仁奈、今年のゴールデンウィークどうすんの?」


お風呂から上がった佐久間の第一声がそれだった。
私に予定を聞いてどうするんだろう。

もしかして、と期待する自分の心を押し殺して答えた。


「2日くらい実家に帰って、残りはゆっくりします。佐久間さんは?」

「温泉いきたい」

「はい?」

「俺ら風呂好きじゃん?ゆっくりしたいなら温泉行かない?」


期待が現実になって嬉しい……だめだ、にやけちゃう。
感情がバレたくなくて背を向けた。


「は?何その反応。オッケーなの?」

「じゃあ、カニが食べられる旅館がいいです」


一度心を落ち着かせてからチラ見。


「まだ言ってる……」


佐久間は半目になって私をジトっと見てきたけど、次の瞬間笑顔になった。


「分かった、探しておく。1泊2日で考えといて」

「分かりました、温泉は初めてだから楽しみです」

「まーたかわいいこと言ってる。きっと明日大雨だな」

「失礼ですね、私だって嬉しい時は素直に喜びます」


ひねくれないで素直に伝えたら佐久間は優しい笑顔を見せた。
……その笑顔、好きだなぁ。職場では絶対見せない微笑み。
私にしか見せないから余計に特別扱いされてるって思っちゃう。

独り占めしたいだなんて、やっぱり私はずるいかもしれない。
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