都合のいい女になるはずが溺愛されてます
ゴールデンウィーク後半、佐久間の車で1時間半かけて目的の旅館にたどり着いた。
時刻は15時。楽しみにしている夕食の懐石料理までまだ早いけどこれから何しよう。


「早いけど先に温泉であったまる?」


荷物を置いた佐久間は屋外の露天風呂を確認しながら聞いてきた。


「そうですね、じゃあ私が先に体洗うので呼んだら来てください」

「やだ、一緒に入ろ」

「は?」

「ここまで来ておいて別々にって俺ちょっと寂しい」


旅費全額を負担している佐久間を相手に、簡単には嫌と言えない。
……まさかはじめからそれが狙いだったのでは?


「明るいから恥ずかしいです」

「仁奈が恥ずかしがってるとムラムラするから堂々としてた方がいいよ」

「っ、分かりました」

「一緒に入ってくれる?やっぱり最近素直でかわいいね」

「旅費全部出してくれた佐久間さんに申し訳ないからお願いを叶えてあげるだけです」

「ふぅん」


強がるとたしなめるように笑う佐久間。
熱のこもったその目はどうも直視出来なくて顔を逸らした。
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