都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「外でシャワー浴びるのって新鮮」


外に出た佐久間がシャワーの湯温を調整する中、私はタオルを巻いてガチガチに緊張していた。
慣れない場所でのふたりきりはストレスだ。


「仁奈、頭洗ったげるからこっちおいで」


心臓がずっとうるさい。でも意識してるなんて思われたくないから胸をぎゅっと抑えながらバスチェアに座る。


「緊張してんの?いつもより大人しくてかわいい」


でも佐久間にはこういう時いつもバレバレだ。


「なんで分かるんですか?」

「えー、俺だけの秘密」


なにそれ、と思っていたら頭からお湯をかけられた。
顔にお湯がかからないように配慮しながら、頭を丁寧に洗ってくれる。

佐久間は慣れた手つきで頭を洗いながら鼻歌を歌って上機嫌だ。


「長い髪って洗いがいがあるからおもしろい」

「そうですか」

「仁奈リラックスして。いつまでも緊張されてるとつまんねーから」

「無理です、佐久間さんは慣れてるかもしれないけど恥ずかしいものは恥ずかしい」

「ムキになっちゃってかわいい」


おちょくる佐久間の余裕にムカつく。
だけど言い返す言葉が見つからないから代わりに口を尖らせた。
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