都合のいい女になるはずが溺愛されてます
ご丁寧にトリートメントまでしてくれた佐久間。
髪をまとめるために腕を上げたら身体に巻いたタオルをグイッと引っ張ってきた


「なにするんですか!」

「だってタオルとらないと身体洗えない」


まだ心の準備ができてないから身体を見せたくない。
嫌な予感がしたからスキンケアは入念にしたけど、それでも明るいところで見られるのは恥ずかしい。


「先に佐久間さんの頭洗います」

「分かった、じゃあよろしく」


踏ん切りがつかなくて佐久間と場所を交代する。
暴れる心臓を抑えるために髪を洗うことに専念することにした。

洗われている間は大人しくしていた佐久間。
実家の犬もシャンプーの時大人しくしていたことをこのタイミングで思い出してひそかに笑った。


「仁奈、なーんか失礼なこと考えてない?」

「そんなことないですよ、流しますね〜」


顔は見えないはずなのに勘づかれたので、誤魔化すようにシャワーの蛇口をひねった。
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