都合のいい女になるはずが溺愛されてます
温泉でひと休みして浴衣に着替えたころにはお腹が鳴っていた。
おかしいな、お昼はしっかり食べたはずなのに。


「夕食が待ち遠しい」

「お腹空いたんですか?」

「うん、ちょっと散歩がてら外行かない?」


佐久間も小腹がすいたらしいので、着たばかりの浴衣を脱いで元の服に着替えて旅館の外に出た。

お土産屋が並ぶ駅の周辺を散策して食べ歩きをした。
ついでにお土産も見ようかなと店に寄ったら佐久間が店頭に並んでいたせんべいの箱を手に取った。


「職場はこれでいっかな」

「え、職場に買って帰るんですか?」

「うん、部長に週末旅行に行くって飲み断ったから買わないと」


じゃあ私は職場に買わない方がいいか。
誰にも言ってないからどっちにしろ買うつもり無いけど。

すると佐久間は私を横目にニヤリと笑った。


「仁奈買わないの?週明け同じお土産出したらおもしれーのに」


は?何言ってんの?


「そんなことしたら職場の人に勘違いされますよ」

「俺は勘違いされてもいいけど」

「事務のおばちゃんはゴシップ大好きなので根掘り葉掘り聞いてきますけど本当にいいんですか?」

「あー、それはめんどい」


佐久間は手に持っていたそれをレジに持っていきながら「やっぱ仁奈買わなくていいよ」と苦笑い。

ウチの会社、事務に限らずおばちゃんはみんな強いもんね。
もし私たちの関係が会社の人にバレたら相当めんどくさいことになると思う。
< 113 / 263 >

この作品をシェア

pagetop