都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「仁奈は男の影がまったくないからいいよね」

「モテないって言いたいんですか?」

「いや、その気になれば引く手数多だろ。かわいいもん」


電気を消して暗闇が広がるベッドの中で会話をする。
かわいいと言われて嬉しくて、これならいい夢を見られそうだと目をつぶったその時。


「でもそうなったらダルいから俺が手引くわ」

「え……」

「課長相手でも疲れたから無理」


その気があると思わせておいて、面倒事が起きたら簡単に身を引けるんだ。
私はもう佐久間と離れられないくらい好きなのに。


「……その節はご忠告ありがとうございました」

「えー、忠告聞いてなかったじゃん。まあ熱出て結果オーライだったけど」


一応礼を言っておこうと思ったら横向きに寝る私に後ろから抱きついてきた。


「あの時の仁奈、今思い出しても抜ける」

「……」

「えー、ガン無視?ごめんって」

「いいから早く寝ますよ」

「うん、おやすみ……」


かなり飲んだらしい佐久間は節操がない。
でもダルいとか疲れたとか、そういうのは本音なんだろう。
佐久間は素直だけど、嘘をつかないのも残酷だなと思った。
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