都合のいい女になるはずが溺愛されてます
佐久間は私のお腹に手を伸ばしてさっそくさすってくれる。
お酒を飲んだせいかその手はあったかくて湯たんぽみたいだ。


「電気消すね」

「どうぞ」


一旦手を離した佐久間はベットの近くに置いてあるリモコンを手に取って電気を消す。
真っ暗な視界の中、服の上からゆっくりお腹を撫でる布のすれる音とぬくもりだけが伝わってくる。


「いっこ余計なこと言っていい?」

「なんですか?」

「仁奈くらいの体型がちょうどいいと思う。細すぎなくて俺は結構好き」


その言葉に、こいつとは身体を重ねた仲だったと思い出した。
真っ暗でよかった、明るかったら動揺した顔が見えていたはずだから。


「私もひとつ聞いていいですか?」

「ん?」


気を紛らわすために聞いたのに、鼻にかかった声に色気を感じてドキッとした。
佐久間相手にときめくなんてどうかしてる。

そんなことよりさっきから気になってることを聞いたい。


「佐久間さんは全裸で寝る派ですか?」

「え、どういうこと?俺が今全裸だったらどうすんの?」

「逆です、気を使って脱いでくれたのは分かってるけど、どこまで脱いだんだろうと思って」

「ははっ、さすがに履いてるわ」


こうして安堵とともに『佐久間は寝る時パンイチ派らしい』という、いらない知識を得た。
その後またからかわれるかなと思ったけど優しくお腹を撫でてくれるだけ。

いつぶりだろう。ふわふわしてあったかくて、人の温もりに安心して身を委ねられるこの感じ。

その夜は不思議とすぐ眠れた。
< 27 / 263 >

この作品をシェア

pagetop