都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「俺の姉ちゃんカフェの店長なの。学生の時よく手伝ってたから料理は割とできる。洋食に限りだけど」

「お姉さんいるんですね」

「そうそう、6つ上の姉ちゃんがひとり」


違う、私がつっこむのはそこじゃない。
注目すべきなのはソファの前のローテーブルに置かれた料理だ。
私は布団から出てそっちに向かった。

カリカリのベーコンを添えた目玉焼きと、バターを乗せたトーストとコンソメスープ。
すごい、カフェのモーニングメニューっぽい。
これを本当に佐久間が?


「なに?なんか言えよ」

「とってもおいしそうです」

「えー、慣れないキッチンで頑張ったのに感想棒読み?」

「だって、まだこれは夢なんじゃないかと思って」

「ねぼすけ、夢じゃないから顔洗ってきな」


佐久間に背中をそっと押されて言われるがまま洗面所に向かう。
パチャパチャと冷たい水で顔を洗って目を覚ました。

だけどこの妙に落ち着いた現実に納得がいかなくて。


「目玉焼きに何かける?」


部屋に戻ったらソファに座って私を待ってる佐久間がいる。
夢じゃないことは分かったけど普通に居座られて変な感じ。


「えっと、塩がいいです」

「やっぱ塩?よかった、ケチャップとかソースだったら邪道だって文句言ってたところだった」

「しょうゆは?」

「しょうゆは卵かけご飯に限る」


目玉焼きは塩派、また佐久間のいらない情報がひとつ増えた。
こんなの覚えても仕方ないのに。
私のそんな思いは「ほら、おいで」と座る場所をポンポン叩いて誘導する佐久間の前に消えた。
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