都合のいい女になるはずが溺愛されてます
しゃがんだまま見上げたけど逆光で顔が見えない。
するとその真っ黒の顔が近づいてきて同じ目線に並んだ。

くっきりとした二重を瞬かせて首をかしげるそれは、佐久間に間違いなかった。

てっきり、あの発言が終止符と思っていたのに。
彼女がいると公言したことで、お前とは終わりだと言われた気がしたのに。


「吐きそう?」


佐久間の問いかけに無言で横に首を振る。
違う、泣きそうだったんだよ。
佐久間が来たから涙が引っ込んだけど。


「じゃあ飲みすぎて歩けねーの?
ねえ、これ何本に見える?」


佐久間は私の顔の前でピースサインをした。


「2本?」

「ブブー、3本でーす」

「え、2本ですよ……」

「あれ、2本だった。はは、俺もだいぶ酔ってるわ」


いい大人が、道端にしゃがみこんで何してるんだろう。

こいつ彼女いるって言ったのになんで私を追いかけてきたの?
それで私、なんで嬉しいの?
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