都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「立てる?」


その問いに頷いてゆっくり立ち上がる。
すると佐久間は気さくに肩を組んできた。


「あー、飲みすぎた。あの新卒マジだるい。
今日仁奈の家泊まらせて」


いつかのように帰り道に絡んできた佐久間。
いったい、なんのつもりだろう。


「……違う女性の家に行ったらどうですか?」

「違う女ってどれ?」

「へえ、選ぶほどいらっしゃるんですか。彼女もいるのに?羨ましいです」

「仁奈」


ヘラヘラ笑いながらしゃべるから、振り切るように歩き出したら佐久間に腕を掴まれた。
振り返ったら佐久間は笑ってなかった。





「彼女いない。あれ、嘘」





「………は?」
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