都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ほら、見て。仕事以外で連絡とってる女、仁奈だけだから」


アプリを開いて無実を証明しようとする佐久間。
無実もなにも、付き合ってないからそんなことしなくていいのに。

だけど確かに『イチャイチャしたい』と送ってきた女の名前はそこになかった。
でもそんなの、トーク履歴を消せばどうにでもなるし。


「勘違いさせてごめんね」


謝るくらいなら、じゃあ付き合って──とは口が裂けても言えない。
裏切られるのは目に見えてる。

運が良くて付き合えても束縛してしまって私が疲れる。
最悪の場合、佐久間は告白されたことで私に対しての興味を失うかもしれない。
後腐れすると思われて切られるかもしれない。
佐久間が私に抱いてる感情は、たかが好奇心に過ぎないから。


「まだ怒ってる?じゃあ今日の新卒も消す。他部署だしいらない」

「なんで必死なんですか」

「仁奈に嫌われたくない」

「酔ってます?」

「かなり酔ってる」


思いは伝えない。それが私なりに駆け引きなのに、なんで佐久間は正面から伝えてくるの?
佐久間の考えてること、さっぱり分からないよ。
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