都合のいい女になるはずが溺愛されてます
途中でタクシーを拾ってマンションについた。
カバンから鍵を探していたら佐久間がポケットからキーケースを取り出して先にオートロックを解除した。

渡した鍵、キーケースに入れて持ち歩いてるんだ。


「……どした?」

「なんでもないです」


大事に持ってくれてるって嬉しいけど、口にしたらからかわれる気がして言わなかった。


「なんでニヤニヤしてんの」


だけどエレベーターに乗った頃に佐久間に追求された。
え、ウソ。顔に出てる?


「してないです、酔いすぎて視界ボケてるんじゃないですか?」

「酔い覚めてきたから仁奈が微妙に笑ってるの分かるんじゃん。
あ、もしかして俺が泊まりに来てくれてが嬉しい?」

「……ハズレです」


解答したころエレベーターが目的の階についたから逃げるようにドアから出て自分の部屋の鍵を開けた。


「ただいまー」

「ちょっと、佐久間さんの家じゃないんですけど」

「分かってるけど、自分の部屋より落ち着くからただいまって言いたくなる。
あとは『陸くんおかえり』ってかわいく言ってくれる女子がいれば完璧」

「裏声気持ち悪いです」

「え、ちょ、キモイは傷つく」


割とショックを受けてる佐久間を置いて脱衣所に向かう。
佐久間、なんか妙にテンション上がってない?扱いづらいんだけど。

そう思いながら浴槽にお湯をためるために蛇口をひねる。
すると脱衣所に佐久間が笑顔でやってきた。
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