都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「最近、仁奈がいればマジでどうでもいいと思ってる」


さらっと他に女がいることを告白してきたのに、なんで私ドキドキしてるの?
ていうか佐久間、急にどうした。

女の子を泣かせてきたクズ男に限って心変わりなんてありえない。
ホストみたいな手口で私をどこまで懐柔できるか試してるんじゃ……。


「冗談もほどほどにしてください」

「今の発言が冗談ってさすがにクズすぎるでしょ。結構マジなんだけど」


一応、佐久間の中でクズのボーダーラインがあるらしい。

自分の中で期待と不信感が入り混じる。
どこまでが本心?どれが本音なの?
いらさら口説いてなんのつもりだろう。


「今、佐久間さんは私がいればいいって思ってるかもしれないけど、きっといつか飽きますよ。
人ってそんな簡単に変われないから」

「仁奈って警戒心強いよね、野良猫みたい」

「……佐久間さんはどんなにかわいい子でも飼い猫にはしてくれないでしょ」


少し悲観したあと、口が滑ったと気づいた。
この言い方じゃまるで私が佐久間さんに飼われたいと思ってるみたいだ。


「あの、私もう上がります。のぼせそうなんで」


この場から逃げたくて立ち上がろうと試みる。
だけど佐久間に抱きつかれて逃走は叶わなかった。
< 69 / 263 >

この作品をシェア

pagetop