都合のいい女になるはずが溺愛されてます
狸寝入りをしていたつもりが、気がついたら枕元が明るくなっていた。
もう朝?まだ寝ていたいのに。

カーテンの隙間から差し込む太陽の光をよけるために寝返りを打つと、佐久間と目が合った。
てっきり寝てると思ってたから露骨に驚いてしまった。


「そんなびっくりする?」

「また寝顔覗いてたんですか……悪趣味です」


恥ずかしくて毛布をかぶったら剥ぎ取られた。


「寒い。毛布返してください」

「じゃあメシ食ってから二度寝しよう」

「え、またご飯作ってくれたんですか?」

「食パン賞味期限切れそうだったからサンドイッチにした」


返してもらおうと思ったけど朝食を作ってくれたなら話は違う。


「どう、起きる?」

「佐久間さんのご飯食べたいから起きます」

「珍しくかわいいこと言うじゃん」


寝起きはよくない私だけどご飯のために頑張って起きる。
別に佐久間のためじゃない。佐久間の作る料理がおいしいからそのためにベットから出ただけ。


「俺にもっと懐いてくれたら毎日作ってやるのに」


だけど佐久間は嬉しそうに口元に弧を描く。


「仁奈なら飼ってもいいよ。飽きないから」


昨夜からこの男のことが本当に分からなくなってきた。
とりあえず回らない頭で駆け引きするのは面倒だと思って何も答えずに洗面所に向かった。
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