都合のいい女になるはずが溺愛されてます
準備をして二度寝して、夕方には佐久間の家についた。
高層マンションの11階の角部屋らしい。

らしい、というのはこの前来た時は酔ってて全く覚えてないから。
とりあえず今分かるのは、私が住んでるマンションより断然いい部屋だろうということ。


「なんでこんないいマンションに住んでるのに私の家に引っ越したいって言ったんですか?」


エレベーターに乗って聞いたらとぼけた顔で「そんなこと言ったっけ?」と言われた。
あ、覚えてない感じ?なるほど、ああいう思いつきで女を口説いてきたんだろうな。


「“引っ越したい”じゃなくて、“引っ越してきていい?”とは聞いた気がする。
仁奈の部屋はアットホームな感じで居心地いい」


と思ったらちゃんと覚えてた。
何気ない会話を覚えていたと知って嬉しい。

そう思っていたらエレベーターは目的の階に着いた。


「こんなにオシャレだったんですね、佐久間さんの部屋」


ドアを開けて驚いた。
玄関が広いことしか覚えてなかったから、内装はしっかり見てなかった。


「あー、この前酔ってたから覚えてないか」

「実質佐久間さんの家に来るのは初めてです」

「じゃあ気に入ってくれたらいいな」


そう言うけど、玄関にちゃんとマットとスリッパがあってさらに植物が置いてある時点でオシャレな家の人だと思う。

開けられたリビングは当然のごとくオシャレな空間だった。
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