都合のいい女になるはずが溺愛されてます

広い部屋、大きなテレビ、同じ色で統一された家具。
なにより間接照明の多さが目を引いた。
インテリアに詳しくない私でも分かる。間接照明がある家はオシャレに決まってる。


「突っ立ってないで入っておいで」

「……なんで」

「ん?」

「なんでもっと早く連れてきてくれなかったんですか。この部屋で映画観たら最高なのに」


ちょっとテンションが上がって辺りをキョロキョロ。


「気に入った?」

「はい」

「結構頑張ったからいいリアクションしてくれて嬉しい」


本当に嬉しそうに笑う佐久間がかわいい。
おかしいな、最近佐久間をかわいいと思う機会が増えた。

相手は社内で有名な女たらしのクズなのに。
その先入観はあながち間違ってなかったのに、いつの間にかすっかり気を許してしまっている。

ときめくのもそのせいだと自分に言い聞かせる。


「今日のロードショー、一緒に見る?」

「はい、じゃあそれまでにご飯とお風呂済ませましょう」

「じゃあぼちぼち材料買いに行こっか」

「そうですね、最寄りのスーパーまでどれくらいですか?」

「歩いて5分だから一緒に行こ」


だけど、付き合ってると錯覚する回数が増えたのは私だけの問題?
明らかに昨日から佐久間のスキンシップが変わったと思う。
遠慮がなくなったって言うか、言葉にするのは難しいけどそんな感じ。

今は私だけって言ってたけど根がクズだからなんとも言えない。

ねえ佐久間。思惑通り本当に落ちたら、本当に好きになったら、私のことどうするつもり?
喉元まで出かかった疑問は、小さなため息になって消えた。
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