エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「……今までこんなに遅れたことないの、お腹が重くなるのもないし」
「多分、妊娠してる?」
こくこくと頷きながら、手で涙を拭う。
「泣いてるのはなんで?」
不思議そうに彼が私の顔を覗き込んだ。なんでなんて、そんなの決まっている。ずっと、信じてもらえるのかそれが一番の不安で、だけど彼は私に何の弁解も求めずに、信じてくれた。
「こんな、すぐ、信じてもらえると思ってなくて。だって、あの夜、だけ」
相手のことは、私にしかわからないことなのに。無条件で信じてくれた、そのことが何より私を安心させて、深く感動してしまった。
「そりゃ、信じるよ。雅のことは」
本当に、どうして、この人はこんなに思ってくれるんだろう。
彼が立ち上がり、私のすぐ横に座るとベッドが揺れた。前かがみになって、私の顔を覗き込む。
「これから先の話をしようか」
「先の話?」
「そう。お腹の赤ちゃんの為に、一番良い方法を考えないと」
少しも動揺していない、落ち着いた声音に私も息を整える余裕ができた。彼のいう通りだ。まずは、信じてもらえた。それで喜んでしまったけれど、大事なのはこれから先のことを、大哉さんと話し合わなければいけない。
「できれば早いうちに、結婚しよう」
予想通りの言葉に、私は背筋を伸ばしてやっぱり泣きそうになり、唇を噛みしめた。