エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「えっ」
そうだろうか。
ぱっと顔を両手で触る。もちろん、そんなことをしてもわかるわけではないのだけれど、むにむにと頬を揉んでみた。
気持ちは、前向きに切り替えたつもりだ。大哉さんと幸せになれるように、今からでもゆっくり時間を重ねていけば、きっと大丈夫だと思っている。
だけど、急なことで彼に覚悟を迫ることになったのも、間違いはない。それが確かに、申し訳ない部分ではあった。もしかしたら、知らず罪悪感も抱いていたのかもしれない。
「子供ができるのは、どちらかひとりの責任なわけがないだろう。だから礼なんていらない。これは最初から、ふたりの問題だ」
わかった?
そう確認するみたいに、私の目をじっと見つめる。
「……はい。ふたりの問題、ですね」
この人は、どこまで私を惚れさせたら気が済むんだろう。幸せな気持ちで頷くと、彼も満足したらしく頷き返してくる。
そして。
「じゃあ、まずは雅の実家に連絡だな」
その行動はあまりにスピーディで、私の方は気持ちがついていくのに必死だけれど。結婚すると決めたのだから、彼のこういう一面にも腹をくくらねばならないようだ。