エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける

 早い方がいいのはわかっている。
 だけど、心の準備をする時間が欲しかった……と、このところよくそう思わされている。

 大哉さんに、とりあえず実家に挨拶にいく約束だけでも今日中に取り付けた方がいいと言われ、緊張しながらスマホを手にベッドに座っていた。

 タップひとつで実家に繋がるように画面を準備してから、深呼吸している時、なんとタイムリーに母から電話があったのだ。

 昼間、フラワーセンターにいるときにモッコウバラの画像を送ったのをすっかり忘れていた。
 店が終わってから画像を見て、メッセージでは文字を入力するのが面倒で直接通話でかかってきたのだ。

 あわあわしながら出て、しばらくはモッコウバラがどっちが大きかったかとか変な対抗心絡みの雑談を母としていたのだが。
 じっと、大哉さんに期待の目で見つめられて、とうとう、私は「会って欲しい人がいる」と言ったのだった。

『あ、会って欲しい人って……雅? つまりそういうこと?』
「あ、うん……まあ、そういうこと……なの」

 そりゃ、いつかはこういう日が来ることもあるだろうなとは思っていたけれど、とてつもなく気恥ずかしい。

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