エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
◇◆◇


「雅は、尽くし過ぎだと思う」


 仕事の後、カフェで待ち合わせた。相手は、直樹さんの病院の看護師で共通の友人でもある永井サチだ。先日、高野先生に送ってもらった日から数日、直樹さんから連絡がない。気になってサチにメールを送ってしまった。

《直樹さん、忙しそう?》

 そのすぐあとに、夜勤明けで今日は休みだからご飯に行こうと返事があって、今である。
 セルフサービスのカフェで、それぞれ頼んだサンドイッチのプレートと飲み物を受け取り窓際の席に座った。落ち着いて話せる状態になった、開口一番のセリフだった。

「えっ。そう? かな?」

 尽くすといえば、やっぱりお家に通って家事をしたりとかそういうことを想像する。しかし、私はそれは一切やっていない。
 直樹さんと一緒にお家にお邪魔した時は、そりゃ多少はするけれど、それだけだ。

「普通さあ。飲み会の後に会いたいからって外で待たせたりしないって。文句も言わずに待ってる雅もどうかと思う。会いたいなら家まで来いって言った方がいいよ」

 そう言って、彼女はちゅるるとストローでアイスコーヒーを飲む。

「うーん……」

 確かに、その部分だけだと周囲からは変に思われるのかもしれない。しかし、そうなる経緯はちゃんとあって、自然とそうなっただけなのだ。

 インターンの頃は、カンファレンスや指導医施行の手術に検査にと本当に忙しそうだった。院内の人付き合いも大事だし、プライベートの時間にもあれだこれだと予定が入る彼に合わせるうちに、問題ない場には呼んでもらったり迎えに行ったりするようになった。
 
 けれど、サチの言う通りそれが当たり前になっている今は、ちょっとおかしいのかもしれない。高野先生も、あの日送ってくれたのは私を心配してくれてのことだと、私もよくわかってはいる。


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