エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける

「直樹さんと話して、あんまり待機はしないようにする」
「話をしようとしても連絡取れないから私に聞こうとしたんでしょ?」

 間髪入れずに厳しい口調が飛んできて、ぐっと言葉に詰まった。ちらりと上目遣いに彼女を見れば、眉間にシワを寄せている。

「忙しいんだなあ、と思うと……あんまり連絡しすぎるのもいけないと思って?」
「気を使いすぎじゃない? 分刻みにメールしてるわけでもないでしょうに」
「いや、それ嫌がらせじゃない?」
「なかにはそういう女子もいるってこと。でも雅はそういうタイプじゃないしさあ」

 そう言ってから、サチはかぷっとBLTサンドに噛り付いた。もぐもぐと口を動かすその間も、やっぱり眉間のシワは消えていない。

「ねえ、なんか怒ってる?」

 直樹さんと思うように連絡つかないからって、サチに頼ったことがいけなかったのだろうか。

「直樹さんのことはともかく、サチにも久々に会いたかったよ。年度初めでサチも忙しいのに、来てくれてありがとうね」

 彼の現状を知りたくてメールしたのもあるけれど、久々にサチと話せるのも嬉しい。ちょっと前かがみになってサチの表情を窺いながらそう言うと、彼女はちょっと目を逸らし気まずそうにつぶやいた。

「別に、雅に怒ってるわけじゃないわよ」
「そう?」
「伊東先生の扱いがちょっとあんまりじゃないって思ってるだけ。たまにはちょっと、雅の方が素っ気なくして焦らせるくらいしてもいいんじゃない?」



 
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