エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
大哉さんのご両親にも、だ。まだ話が伝わっているというだけで、会ったことも話したこともないのだけれど。
だけど、まだ今なら――。
「するよ。結婚は」
私が考えついたことを、すっかりお見通しらしい彼が、きっぱりと断言した。
「えっ……でも」
「子供のことは、プロポーズとは関係ない」
私を膝に抱いたまま、彼は片肘をソファの肘置きに預けて頬杖をつく。そしてもう片方の手で、私の髪を掬って弄びながら言った。
「ご両親に挨拶することにもなってるし、結婚式は一年以内に考えた方が安心してもらえるんじゃないか」
「それは……そうですね」
今さら、やっぱり都合が悪くなったとかでごまかしたりすれば、両親は変に心配するだろう。それは避けたいし、なにより私も一度決めた結婚を白紙にすることを思うと、急に寂しく感じてしまった。
だけど、続いた言葉には頷けなかった。
「婚姻届は、予定通りすぐに出したい」
「えっ?」
驚いて大哉さんを見ると、髪を弄っていた手を止めて彼は真剣な目を私に向ける。
「でも、それは急ぐ必要ないですよ?」
「もう一緒に暮らす予定だし、ご両親の許可はちゃんともらう。それなら届だけは先に出しておいたらなんの不安もなくふたりで結婚式に備えられるだろう?」
彼の言葉は一理ある。しかも、同棲の許可を両親にちゃんともらうつもりでいてくれたことがうれしかった。彼は、私が不安に思うだろう部分に気が付き、理解しようとしてくれる。きっとふたりで幸せな生活を送れるだろうと、彼のことを知れば知るほど、そう思えた。
ただ、子供が出来たかもしれないから慌てて両親に挨拶をすることになったから、この短期間での結婚話だったわけで、別の視点から思うとあまりにも早すぎる決断であることには違いない。