エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
一人暮らしには、少しもったいないくらいに広いリビングとダイニングだ。私は、ソファに座らされて、ぼんやりとしていた。
「明日は休み?」
話しかけられてはっと顔を上げる。高野先生が、缶をふたつ手に立っていた。ひとつはビールで、もうひとつは缶チューハイだ。
「休みなら、もう少し飲みたいかと思って」
差し出された缶のうちチューハイの方を受け取る。今日は金曜で、土曜日は隔週の出勤で。明日は休みの日だった。
「酔っ払ってもいいよ。健康被害が心配になる前に止めてやる」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
目の前で振られた惨めなところも見られたし、散々泣き顔を見られたし、正直もう彼の前で取り繕う気力はない。
何も考えずにプルトップを引くと、ぷしゅっと音がした。飲み口に直接口をつけて、思い切りよく呷る。
頭も体も疲れ切って、ぐびぐびと飲んだチューハイがしみ込んでいく。とてつもなく、美味しく感じた。
「いい飲みっぷり」
「お酒好きでよかったなと思いました。ヤケ酒できるから」
「確かに」
ぷは、と彼が笑った。彼も手にした缶ビールを開け、そのまま飲みながらソファではなくラグの上に胡坐をかく。
「……サチは知ってたんでしょうか」
「サチ……ああ、永井?」
「はい。こないだ会った時に、なんだかちょっと、変だったかなって今にしてみたら」