エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「まあでも、積年の思いは聞かされたから……それ考えれば……仕方ないのか?」
眉根を寄せて彼女が言ったセリフに、私は気恥ずかしくなってアイスティのストローを咥える。
私と連絡を取るために、サチを説得していたと高野先生から聞いてはいた。だけどまさか、何年も前からという思いまで話して説得にかかっていたとは思わなかった。
サチが頬杖をついて、ニヤニヤ笑いながら私を見る。
「ま、良かったじゃない」
「……うん。いまだになんだか、信じられない。あ、高野先生の気持ちを信じてないとかじゃなくて、現実味がないっていうか」
高野先生は、今まで意識したことはなかったけれど、改めてみるととてもかっこいい。背丈だって多分、百八十は超えている。
性格だって、どちらかと固そうな印象があるくらいで、不誠実な雰囲気はまったくない。それは同じ病院で働いて日ごろから彼を知っているサチが見てもそう感じるらしい。
「いくらでも選び放題だと思うのに、どうして何年も私など……」
「ねー。先輩の彼女なんて普通、好きになっても不毛じゃない?」
そんなにも好意を寄せてくれていたなんて、聞かされるまでまったくわからなかった。見た目は特別美人でもなく、頭が特別良いわけではなく、全方位どこから見ても普通の私なのに。
「あ、でも、ちょっとわかる気もするわ」
「え?」
「雅、おいで~って呼んだときのあんたって、すっごく可愛い顔で寄ってくるのよね。ワンコみたいに」
「……それっぽいこと、なんか高野先生にも言われた……」
「あれ、友達の私でもキュンとくる。よーしよしよしって撫でてやりたくなるのよ」
「それ、彼女でも友達でもなくペットじゃない?」
そんなに、そんなに私は犬っぽいのか。喜んでいいのか悲しんでいいのかわからない。