エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
あなたと恋がしたかった

 ――妊娠、したかもしれない。

 疑惑よりも、確信の方が強かった。ずっと安定してあった生理が急に崩れ、しかも心当たりがあるのだから。
 それでも、思考回路は一生懸命別の可能性を探そうとする。

 生理と排卵日の間は何日くらいだっただろう。身体の関係があった日から、何日間くらいに受精の可能性がある?

 そんな情報は、ネットで調べればすぐに出てくる。だけど、いくら考えても、無駄だった。だって、一カ月以上に渡り関係を結んだのは大哉さんとの一度だけで、現状生理が来ていない。
 生理が来ない以上、妊娠だとすれば、相手は大哉さんしかいなかった。

 ――とにかく、まずは確かめなければ。

 平日の夜、もう店も閉まり始める時間帯だが、駅前のドラッグストアは深夜まで開いている。急いで向かい、二回用の妊娠検査薬をひと箱買った。

 使うのはもちろん、手に取ることも初めてだ。
 ラグに座り、ローテーブルの上で箱の中身を開ける。細長いスティック状のものが二本と、折りたたまれた取り扱い説明書が入っていた。

 読んでみると、複雑なことはまったくない。寧ろ、本当にこんな簡単なことでわかるのかと思うくらいだった。

「あ……時期的には、まだちょっと早い……?」

 説明書には、生理予定日を過ぎて一週間後から検査が可能だと書いてあった。気になって仕方ないからと夜にわざわざ外に買いに出たのに、まだ使えないなんて、結局落ち着かないままだ。
 落ち着かない。どうしても、気になる。

 ――一週間過ぎてからの方が確実っていうだけで、ちょっとくらい早くてもわかるのでは……?

 そんな風に思いついたら、もう我慢できなくて、私は結局ふたつあるうちのひとつを使ってしまった。

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