愛され王女は王の道をゆく
「今日は随分と男前な子を連れているのね」

「そうでしょ?
 お父様の仕事の関係で家に来たんだけど、街に出たいからって連れてきちゃった」


 最後以外は何も合っていない理由を話し、リィンの腕をアナスタシアは抱き寄せて見せた。

 おまけに無邪気な笑顔を見せれば、誰もアナスタシアが王女であるなど、考えもしないだろう。


「あんまり困らせちゃだめだよ」

「大丈夫よ。ね?」

「ま、まぁ……」


 いきなり話を振られ、リィンは情けない返事をしてしまった。

 アナスタシアはジト目だし、おばあさんも苦笑いだ。


「そこは、ちゃんと否定するところでしょうに。
 嫌なら帰っていいわよ?」

「そんなこと言っちゃだめよアナちゃん。
 アナちゃんみたいな女の子とデートしたら、誰だって緊張しちゃうわ」

「そういうものかしらね?」

「そういうものよ」


 実際、リィンはレオナルドから、多少なりともアナスタシアのことを聞いていた。

 容姿端麗、透き通った金色の髪に、引き込まれそうな強い意志を感じる瞳、その全てに気品さを感じる立ち居振る舞い――それらは、王族だから持って生まれたものなどではなく、確かにアナスタシアが努力し積み重ねてきた結果なのだと感じられた。


(少々やんちゃ過ぎる気はするが……)


 その後に訪れる先々で、アナスタシアが声を掛けられる様子を見て、リィンはそんな感想を抱く。
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