愛され王女は王の道をゆく
 一国の王城に隣接する城下町である。当然のことながら、その面積は非常に大きい。

 しかし、アナスタシアはゆく先々で、まるで長い付き合いがある知人の様に店員と話しをしている。

 実際、本当に付き合いが長いのだろう。

 王家もよく気付かず放置していたものだ。
 アナスタシアが優秀なのか、彼女を支える誰かが優秀なのか、はたまた、気付いていて放置しているのか。

 それに、目的も何なのか分からない。であれば、直接本人に確認すればいい。


「何故、このようなことを?」

「散歩のこと? 情報収集が一番の理由ね」


 諜報の第一歩は自らの足で――というのが、アナスタシアの方針らしく、政に関わる気のなかったアナスタシアは、護衛部隊は愚か、諜報部隊も用意していないのだ。

 王になる気もない少女を選んだのには、現王にも何かしらの考えがあるはずなのは間違いないのだが、リィンには全く想像することが出来なかった。

 それ故に、本当に王になる気はなかったのだなと、リィンは改めてアナスタシアの人物像を評価した。

 アナスタシアの言う情報収集というのは、嘘ではないと分かったからだ。
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