愛され王女は王の道をゆく
 何気ない世間話をしているように見えて、様々な店から情報を収集し、分かれたピースを組み合わせる。

 そうすることで、物流や国民の幸福度を測っているのだ。

 王になる気がなかったのに、何年も昔からやっている辺り、兄たち譲りの国民第一主義なのか、天然の王の器を有しているのか。

 付き合いの浅いリィンには知る由もなかったが、人柄、武芸、学力において優秀な兄や弟たちが大絶賛する少女である。

 リィンは後者なのかも知れないと、単なる勘でしかなかったが、なんとなくそう感じていた。

 そうやって、注意深くアナスタシアを観察していた所為で、リィンは悔やみきれないミスをしてしまった。

 アナスタシアに連れられるがままに移動すれば、段々と人けがなくなってくる。


「アナスタシア様。これ以上は流石にマズいのでは?」

「意外と早く気付いたのは評価に値するけど、私の名前を様付けで言ってしまったのは、残念だけど減点対象ね」


 アナスタシアは振り返らずにそう言うと、太ももに手を当てる。

 リィンは朝の出掛けに、アナスタシアが閉まった短刀を思い出す。

 慌てて周囲に気を張り巡らせると、幾つか微弱ながら殺気を纏った何かが隠れているのが分かる。

 一度掴めば気配がよく分かる。
 間違いない。本物の暗殺者だった。
< 23 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop