愛され王女は王の道をゆく
「いい加減にして下さい! 早くこの場を――っ!?」


 一瞬の隙きに振り返り、アナスタシアを見れば、もう一人隠れていた暗殺者が、アナスタシア目掛けて背後から襲っている最中だった。

 全ての手を考えたが……悪あがきと分かっても、これしか方法がなかった。

 リィンは四人を無視して、一心にアナスタシアの元へ駆ける。

 飛びつき抱きかかえ、暗殺者の斬撃を背で受けた。

 激しい痛みが全身を駆け巡る。致命傷は避けられた様で、かろうじて動けるが、それも時間の問題だった。


(まったく、美人とは言え、最後がこんな王女の盾とはな……)


 王族を守って死ねることは誇りに思うが、完全に守れた訳ではない。
 自分が倒れれば、アナスタシア王女は殺される――リィンはそう思った。

 体を奮い立たせ、必死にアナスタシアを守ろうと尚も抗う。
 しかし、それ以上はアナスタシアに止められた。


「まったく。見上げた根性だけど、それ以上は本当に死んでしまうから駄目よ」


 そう言って、アナスタシアはリィンの剣を取り上げる。

 右手にはリィンが持ってきた騎士剣。
 左手には護身用のソードブレイカーを構え、アナスタシアは暗殺者に対面した。
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